香港トップの印刷会社 
日本にも本格進出

 おおよそ5000社がひしめく香港の印刷業界で、トップの業績を誇るC&Cジョイントプリンティング。同社は1980年の創業後、世界を視野に業容を拡大し、現在はグループの売上高の7割を欧米、中国をはじめ海外から得るようになった。日本についても以前から最重要マーケットと捉えており、1994年にC&Cプリンティングジャパンを設立して進出の足掛かりとした。
「"世界トップの水準"の高品質・低コストの印刷サービスを提供する」ことをモットーとしてきた同社が、技術面でさらにその地盤を固めたのは99年のこと。その年、ダイレクト刷版(CTP)システムを導入してデジタルワークフローを確立、印刷機もドイツ製のハイデルベルグM-600型輪転機3台を新たに取り入れた。M-600型は1時間に4万シート(両面8色の場合)の印刷を可能とする、現時点では世界最先端とされる印刷機。
今年3月に主婦の友社が部分再版本4点を合計30万部以上発行したが、この印刷・製本を請け負ったのが同社だった。主婦の友社ではその効果について「制作費を従来の80%に抑えられた」としている。
また、日本法人の乙部雅志社長は「当社の持ち味はデジタル化の最先端を目指すと同時に。手加工の技術にも注力していること」と語る。講談社がこのほど発売した立体型絵本『バーバパパのたのしいおうち』のような、仕掛け絵本や豪華本の作成には自信をもっている。
さきごろ東京国際BF視察のため来日した香港本社の荘憲清社長は日本の出版社の印象を「世界一品質にこだわり、世界一短期間で製作を要求される。なかなか難しいお客様です」と語った。日本でも着実に取引先を増しているが、今後は大手だけでなく中小・零細出版社に向けても「高品質・低コスト」で積極的にアプローチしていく。

2001年5月31日付け 『新文化』、新文化通信社より