「印刷界のアカデミー賞」連続受賞
講談社発行の仕掛け絵本「バーバパパ」シリーズのなかの1冊『バーバパパのたのしい世界旅行』が米国で権威あるベンジャミン・フランクリン賞(ベニー賞)の金賞を、「仕掛け本」と「アイデア」の2部門で受賞した。日本の出版物ではおそらく初の受賞、5000点を超えるノミネート作品のなかから選出されたことは快挙であり、その価値は高い。
米印刷工業団体、PIAが主催して毎年実施される同賞は、世界の出版物を対象に審査される「印刷界のアカデミー賞」的存在の賞である。審査の厳しさ、規模の大きさからもそのステータスは、誰もが認めるところだ。2000年度は約800社・5391作品の出品があった。
「ベニー賞なんて賞あるの?」と思っている読者も多いことと思うが、講談社内部での反応もそれとあまり違わないものだった・それもそのはず、今回の受賞作品をノミネートしたのは講談社自身ではなく、印刷・製本を請け負ったC&Cプリンティング社の米国支社だったからである。講談社はノミネートについて知らされておらず、その反応はごく自然なものといえる。C&Cプリンティングと講談社との関わりは絵本シリーズの「ミッフィ」や「ブルーナ」以来のものである。
C&Cプリンティング社は97年から2000年までの4年間、連続で最高賞受賞の実績がある。昨年度は最高賞をはじめ6部門で受賞し、同社の品質の高さを改めて証明する結果となった。絵本での金賞受賞は大変珍しいそうだ。
講談社に受賞の知らせは昨年10月にあったが、受賞の記念盾がPIAから贈られてきたのは今年の6月のこと。盾は赤茶色の木枠に重厚な質感の樹脂板がはめ込まれ、そこには筆記体のアルファベットで受賞の言葉とベンジャミン・フランクリン先生の横顔が遠い目をして描かれているという。
講談社ではその盾を大切に保管したいといっている。
2001年9月6日付け 『新文化』、新文化通信社より
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